エンジニアのソフトウェア的愛情

または私は如何にして心配するのを止めてプログラムを・愛する・ようになったか

言葉に降り積もる意味

ガラパゴス」という言葉が使われるようになっています。ガラパゴス諸島の生物になぞらえて、「独自の変化を遂げた」とか「特定の環境に適応した」という意味のたとえとして使われているのだと、耳にしはじめた頃は思っていたのですが、どうもそういうわけではなく。「独自」→「孤立」→「主流から外れた」という意味に転用されている様子。

それを踏まえて。「ガラパゴス」つまり「主流から外れている」だから「よくない」(たとえば「グローバルな領域で太刀打ちできない」)といった文章ができたりします。そのうち、たとえだったものが前提になってくると「ガラパゴス」だから「よくない」とうい使われ方をされはじめたりします。こうなると、もともと何のたとえとして使われていたのかもう曖昧になってしまって、読み手書き手の解釈でどんどん意味が変化していってしまう。言葉の意味が変化するのは当たり前ですが、ともすると他の人の同意を得られないような使い方をしてしまうことになり、特に若い言葉では使い手の勝手な解釈がどんどんと降り積もる…。
最近「一向に進化してないガラパゴス領域」という文章を見かけて、コケそうになりました。どういった理由で「進化していない」という言葉と「ガラパゴス」という言葉をつなげたのか*1

気のせいか、進化にまつわる言葉は勝手な解釈で使われることが多い気がします。というか「進化」という言葉自体がとくに勝手な解釈で使われているわけで。進歩や改良や、個人の変化や成長にまで「進化」という言葉が使われていて、科学で使われる「進化」とちがう意味になっていて。一般的な言葉の「仕事」という言葉と、物理学でいうところの「仕事」という言葉の意味が違うように、別物と思うのが正解かもしれません。


そんなわけで、オチはないです。

*1:言うまでもないと思いますが、ガラパゴス諸島の生物は他の地域と違う進化をしたのであって進化していないのではないです。