今月の初めの土曜日、秋葉原/神田開催どう書くの第10回が開催されました。
問題とみなさんの回答へのリンクはこちらから。
当日の時間内にテストにパスするコードを書けなかっただけでなく、理屈の上ではパスするものの到底時間内に実行が終わらないアイディアしか思い浮かばず。惨敗しました。
セルを塗り分けるには隣接したセルを調べて同じ色であれば同じ番号をふるということが必要になります、素朴なアイディアでは。しかしここが落とし穴。セルの数は 3入力の文字列のながさ×2 になるため、もっとも長い文字列の入力ではセルの数が 4,782,969 になり、隣の隣の隣の…と調べに行ったままなかなか帰ってこないというありさまでした。加えて、再帰を使うと簡単に書けるのですが帰ってくる前にメモリが尽きるという様相に。
で。作戦変更。端からセルを一つ一つ走査する方法を 3 日ぐらいかけて考えていました。
基本的な考え方は、左から右へ上から下へセルを一つ一つ調べ、左か上にすでに番号のふられたセルがあればその番号と同じ番号をふり、そのようなセルがなければ新しい番号をふる、すべてのセルに番号がついたら、番号の数が塗り分けの数になる、というもの。
この方法を単純に適用するだけでは、たとえば上の方では別の領域だったけれども下までたどったら繋がっていた、という場合にうまくいきません。そこで繋がっていた場合は一方はもう一方の別名だった、ということを記録するようにします。
番号は 1 から順番に大きくなる、先にふられた番号の方を有効とする、というルールに決めておくと、小さい方を実際の値、大きい方を別名と定義できます。すべてのセルに番号がついたら、記録しておいた別名を実際の番号にふりなおすことで繋がったセルには同じ番号がふられた状態になります。
そうやって解いたのがこちら。
私のマシンで 10 秒程度ですべてのテストにパスするようになりました。
しかし実は領域の数だけを知りたいのであれば番号をふりなおす必要なくて、ふられた番号の中から別名として登録されている番号を引いて残る番号の、その個数が領域の数と同じになります。さらに記憶している番号に重複がなければ、全体の番号の個数から別名の個数を引いても答えがえられます。すると別名と実際の値の表を用意する必要もなく、単に別名だった番号を記録しておけばよいことになります。
そのアイディアにもとづいて書き直したのがこちら。実行時間はさらに 3 分の 1 の 3〜4 秒まで短縮することができました。
require 'benchmark' require 'set' PATTERNS = { 'X' => [[1, 0], [0, 1], [2, 1], [1, 2]], 'O' => [[0, 0], [2, 0], [1, 1], [0, 2], [2, 2]] } def filled_area_count(size, blocks) sentinel_index = size ** 2 board = Array.new(sentinel_index) blocks.each {|x, y| board[y * size + x] = sentinel_index } alias_table = Set.new next_index = 0 sentinel_index.times do |i| next if board[i] left_index = (i % size == 0) ? sentinel_index : board[i - 1] upper_index = (i < size) ? sentinel_index : board[i - size] if (left_index == sentinel_index) && (upper_index == sentinel_index) board[i] = next_index next_index += 1 elsif left_index == upper_index board[i] = left_index else actual_index, alias_index = (left_index < upper_index) ? [left_index, upper_index] : [upper_index, left_index] alias_table << alias_index board[i] = actual_index end end alias_table.delete(sentinel_index) next_index - alias_table.size end def solve(input) blacks = input.chars.reduce([[0, 0]]) {|blacks, c| blacks.map {|cell| PATTERNS[c].map {|x, y| [cell[0] * 3 + x, cell[1] * 3 + y] } }.flatten(1) } filled_area_count(3 ** input.length, blacks).to_s end def test(input, expected) actual = solve(input) if actual == expected print "\x1b[1m\x1b[32m.\x1b[0m" else puts(<<~EOS) \x1b[1m\x1b[31m input: #{input} expected: #{expected} actual: #{actual}\x1b[0m EOS end end def test_all(data) data.each do |line| input, expected = line.split test(input, expected) end puts end time = Benchmark.realtime { test_all(DATA) } puts format('%8.3f sec', time) __END__ X 5 O 4 XX 5 OX 10 XO 9 XOO 17 OXX 21 OXO 18 OOOX 130 OXXO 29 XXOX 81 XOXXO 89 OOOOX 630 OXOOO 66 OXOXOX 2001 OXOXXO 417 OXXOXX 1601 XXXOXOO 345 OOOOOXO 3258 OXXOXXX 6401
いつか読むはずっと読まない:神・銃
短編 “The God-Gun” の翻訳「神・銃」を「ゴッド・ガン」と改め、それを表題作とした短編集。
ベイリーの本は何冊か読んでいるはずなのですが、からっきし内容を覚えていないという体たらく。新訳版となった「カエアンの聖衣」を新鮮な気持ちで読めたのでありがたいということもできなくはないのですが。
「神・銃」「ゴッド・ガン」という字面を見たときに思い出すのが「禅〈ゼン・ガン〉銃」(原題 “The Zen Gun”)ですが、これもまた物の見事に内容を思い出せない。
そのうち読み返そうと思うのですが、書籍の山から本書を探し出して引っ張り出すのが、過去の記憶を引っ張り出すのと同じぐらい大変そうというのが目下の課題。

- 作者: バリントン・J・ベイリー,大森望,中村融
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- 発売日: 2016/11/22
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禅銃(ゼンガン) (ハヤカワ文庫SF ヘ 3-1) (ハヤカワ文庫 SF (579))
- 作者: バリントン・J・ベイリー,Nathan Yodan,酒井昭伸
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1984/10/15
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