「今回、観ないで済ましてしまったら、一生後悔する」
と、いうわけで。舞台版「千年女優」凱旋公演を観劇してきました。
前回観たときからずっと「再生不可能性」ということが頭に引っかかっています。
舞台版「千年女優」は演出の仕掛け上すべての回で違う内容になるのですが、それを差し引いても演じられるその時間空間は一度きり、再現されることがないもの。
これがずっと引っかかっています。
一方エンジニアリングは、極端な話、いかにして再現性を確保するかというもの。
かといって。演じられる時間空間が一度きりといえ、演じる演目は会場が変わろうと再現しなければならい。
エンジニアリングでは、違う環境でも必要とされるな同じように機能するものを提供しなければならない。
このあたりが、いま、とても引っかかっています。
言語化できない自分の表現力のなさに orz 。
どうしてもまとめたいので、後日書き直したいと思います。
舞台版「千年女優」凱旋公演 遠征の記録
忘れないように。
2011/05/11(Wed) 6時
すでに起きて準備を始めている。どこか落ち着かない。何度も何度も荷物をチェック。午後に仕事場を抜け出して、新幹線で移動し、観劇し、帰路には夜行高速バスを使い、翌日帰宅せずに直接仕事場に向かう段取り。二日分の準備がいる。チェックシートに書き出していちいち荷物を確かめる。
自宅を出るまでにチケットを3回ぐらい確認してしまう。
9時半
仕事場にて。チェックシートを使ってまで確かめたはずなのにiPhoneの電源アダプタを忘れる。明日の夜まで充電できない。不幸中の幸いで外部充電池があるので、使わない時間帯は電源を切ることにする。
12時
またチケットの確認をしている(苦笑)。
ほかに予定がなくても休みを取るつもりだったものの、偶然に別件の所用がお昼にあって、表向きの理由で午前中で仕事を引ける。
14時
所用を済ませ東京駅へ移動。その場で自由席のチケットを買って新幹線に乗る。
17時
大阪駅到着。帰りのバス乗り場の場所を確認し、劇場に向かって移動開始。
案の定、道に迷う。こんなときのiPhone、こんなときのGPS、と地図を見るが明らかに場所が違う。
案の定、道に迷った。駅から約30分、ようやく会場到着。
#_1000 着いた。この気分、鍵の君を追いかける千代子と、千代子を追いかける源也と、どっちが近いだろう。源也を追いかける井田とは違うと思うw。
18時
劇場前へ移動。18時は当日券販売開始時間。開場は18時半。だというのに、自分もふくめすでにちらほら人が集まりはじめている。
18時半
開場。すでに結構な人。スタッフの方に挨拶をされる人や差し入れをされる人もちらほら。なるほど、演劇ってこういった感じの文化なのか、とか考える。
購入した席は5列目の一番左端の席。入場して指定の場所まで来ると席に張り紙。この席ではとても見にくいので別の席を用意してます、と。見にくいかもとは思っていたものの端の席でも構わなかったのでちょっと意外。別に用意してもらった席は8列目中央付近。こんないい席でいいんだろうか?と戸惑うなど。あとになってから、元の席ではセットで舞台が隠れて見えない範囲があることに気がついた。ブログやTwitterでも今回の会場は今までより大きいから走る距離、出入りする位置の調整が大変とあったけれども、会場ごとに調整しないとならないんだとあらためてわかる。
19時
開演。胸は高鳴るものの、前回のときのように極まるには至らない。2度目ということもあるけれども、前回は最前列で、視界全体が舞台で、終始物語に全身でさらされていたのに対し、今回は視界に別の観客の姿があって観劇しているということをわかった状態で観ていたからかもしれない。
21時
終劇。胸がいっぱいになっている。言語化できない感情。名前づけできない感情。こうやって文章に起こすときに自分の表現力のなさにあきれることは度々だけれども、そもそもこういう感情がわいてくること自体が少ない日々を送っているのかもしれない。
拍手が鳴り止まない。二度目の挨拶の時にはスタンディングオベーション。三度目の挨拶で本当の本当に終演。会場には映画版のテーマ「ロタティオン[LOTUS-2]」が流れる。席を立って出口へ向かうが途中で立ち止まりロタティオンを最後まで聴く。
物販のコーナーでは千代子の5人がサインに応じている。列はどんどん長くなる。東京公演のときに購入したパンフレットを持って列に並ぶ。その場で購入したのでないので念のためスタッフの方に確認をとって並んだけれども、新たに購入してもよかったかもしれないとあとで思ってみたり、でも売り切れたりしたら購入できなくなる人に申し訳なくなるし…。相変わらず余計なことを考えている。
22時
会場を出てバス乗り場へ。
23時
バス出発。iPod ShuffleをPlay。一曲目はアルバム「SIM CITY」収録の「LOTUS」。今監督が最初に「千年女優」を構想したときにエンディングテーマとしてイメージしたのがこの「LOTUS」だったとか*1。
メタ演劇
そういえば。舞台版「千年女優」って、女優が女優を演じるという時点ですでに一段階入れ子が深くなってるだよな、ということに今さら気付いた。メタ。
*1:「千年女優」はラストシーンで始まり冒頭のシーンで終わるという構造をしているけれども、アルバム「SIM CITY」がRecallで始まりPrologue(プロローグ)で終わるという構造をしているのと無関係ではないのかな、と。