エンジニアのソフトウェア的愛情

または私は如何にして心配するのを止めてプログラムを・愛する・ようになったか

オブジェクト倶楽部2010夏イベント――わくわくワークショップ

午前の部で参加した「わくわくワークショップ:場作りのWS」についてメモ。

ワークショップをうまく運営(あるいは切り盛り)するにはどうしたらいいか、を実際にワークショップを通して体験するというメタなテーマ。

体験してみないとわからない。だから体験して理解する。


講師の本間さんが使ったたとえを借りると、自転車に乗ったことがない人に言葉で乗り方を教えるのはムリ。実際に乗って体験してもらうしか乗り方を学べない。で、乗れるようになってはじめて言っていたことがわかる。

ということなので。
どんなワークショップだったかをわたしの貧相な文章でレポートしても伝わるかあやしいので、キーワードを中心にあくまでメモということで。

雰囲気だけでは発言しない

「発言しやすい雰囲気を作る」というのは、原則というか前提というか、あるにはあるんですが、本間さん曰く雰囲気だけでは人は発言しないとのこと。

もっと積極的に「発言したらいいことがあるだ」ということを体験させることが大事。人は「○○したらいいことがあるんだ」という体験をすると「また○○したい」と思うらしく、そこからそれを習慣化することで発言できる場をつくっていく。
そのためには、意見を求める側にも「発言しやすい設問」を用意する努力が必要。


この話で思い出したのがコンサルタントの道具箱にあった「臆病者の公式(The Fraidycat formula)」。

Aをすることに対する恐怖がBをすることに対する恐怖より大きい場合、人はBをする。


コンサルタントの道具箱 p.49

ポジティブな方向とネガティブな方向とで正反対なんですが、どちらの場合でも、選択肢があった場合人は自分に利がある思う方を選ぶ、という話。
こう書いてみると当たり前なんですが、実際の仕事の場を見てみると。発言すると損、詳細を伝えると損、だから言わずにおこう、だから詳細を省いておこう、という習慣付けがされてたりしませんか。

ICE BREAKのポイント

アイスブレイクでは次のようなポイントを押さえる。

  • 息を吐く/笑う
  • 相手を知る
  • 自信を持つ
  • 共通体験
  • その他


今回のワークショップのアイスブレイクは、言葉で説明する内容を絵に描いてみる、というワークでした。
これによって、

  • 伝えることの難しさを実際に感じる(今回のワークショップのテーマ)
  • 絵の出来に笑う(そうそう、うまい人なんていませんし)
  • 互いに見せ合うことで、相手を知る/相手に自分を知ってもらう
  • 絵の出来がお互い似たり寄ったりということを知り、自信を持つ
  • 同じ課題に取り組む、互いに見せ合う(さらけ出す)という行為で、共通体験を得る

共通の体験をしていると、「あれみたいに」とか「あのときみたいに」という感じで共通の情報を共有することができます。加えて「あれ」でなくて名前をつけておくことで整理や記憶が促されるのだと思います。

戦略的発想

  1. うまくいっていることを認めて続ける
  2. うまくいってないことに気がついたら、とりあえずやめて、別の方法をためす
  3. 一度うまくいったら、名前をつけてもう一度試してみる

(あ、またここでも名前づけがでてきた:参照→名前をつけること大事、超大事 - エンジニアのソフトウェア的愛情

本間さんのテクニックいくつか

  • ワークショップが始まる前から参加者に話しかける
    • 空気を作る
    • 参加者について知る(話に反応してくれる人なのか、どんな意図で参加したのか、など)
  • 始まる前からホワイトボードに書いておく
    • 会場に入ってきた時点でなんとなく今からやることがわかる
  • 笑ってくれそうな人に話しかける
    • 実際に笑ってくれたら、その人だけでなくその周囲の人にも反応がある
    • 反応があると自分(講師)も落ち着く
  • 「つまらないことを言えないやつに面白いことを言えるはずがない」(誰だったかの言葉を引用して)。イチローでさえ打率四割。全部面白いこと(有用なこと)を言うのはそもそも不可能。
    • 最初にこれを参加者に言っておくと、参加者は安心できそうな気がします
  • 「気がついたことを3分間で、20個を目標に書き出してみてください」
    • ワークの途中で気がついて、休憩時間に訊いてみました。「3分間で20個って…」「ムリです」言い終わらないうちに即答されました。これが5個とか10個とか実際に3分間で出せそうな数を設定すると、考えてしまって意見が出にくくなるとのこと。とにかく意見を出すことに軸足をおいてもらうために、あえてムチャ振りする。

余談

ワークショップで配布されたプリントがA3用紙2枚(A3サイズで4ページ)というあまり見慣れない構成。もともとA4サイズ4ページで作った原稿をA3サイズにプリントすればA3用紙1枚ですむ、という心づもりで、A3にコピーして、と依頼したらこうなった、と。言葉で伝えるのは難しいという実例。

講師、本間直人さん関係の情報


実際にワークの中で書き出した意見の写真です。テーマ2つ(「よい上司とは」「発言量を増やすには」)×4グループ×本編とふりかえり、で計16枚(ひとつ2枚に渡っているので実際には17枚)。

(無断掲載なのでまずかったら教えてください)